ナイアシンって夏場だけ?
記事作成:本社営業部K.S
2024年6月17日から3日間、フロリダ州ウエストパームビーチで開催されたアメリカ酪農学会(ADSA)に参加してきました(写真)。
40か国以上から1300人以上が子牛、遺伝、栄養、病理などのテーマに分かれ、論文の発表を聴講しました。
スピードの速い英語に四苦八苦しながら、仕事柄「栄養」をテーマとした発表を中心に聞いている中、ミシガン州立大学のナイアシンに関する内容に関心を持ちました。
ナイアシンはルーメンで作られるビタミンB群、血流量の増加により体温放出で、暑熱対策としての活用が広がっています。今回はバイパスナイアシン(以下RPN)の給与により炎症低減や、泌乳期におけるパフォーマンスへの影響で興味深い内容でした。
分娩0日~42日までRPNとして26g(利用されるナイアシンは6g)を給与、炎症を誘発するLPSを注入した結果、体細胞数と急性期蛋白が低下しました(Krogstad et al. 2024)。ナイアシンの受容体であるHCA2というレセプターを介した反応が影響したのではないかと演者は述べていました。
また、ヒートストレスに関係なく、分娩後の乳牛481頭(無給与 593頭)へRPNを給与した結果、乳量は初産牛639 g、経産牛712 g、有意に増加しました。
ナイアシンは約1日1.5gがルーメンで生産され、その1割が第四胃以下へ流入して利用すると考えられています。
水溶性ビタミンのように体に蓄積が出来ない栄養素で、エネルギー代謝に関わる補酵素でもあるため、代謝機能が落ちている時期はルーメンをバイパスするナイアシンが有効になります(図)。
では、その給与時期は?と考えたとき、暑い時期であり、お客様も「ナイアシン=夏」というイメージをもっていました。しかし、代謝機能が落ちるのは夏場だけでなく、分娩前後や代謝フル回転の泌乳ピーク期でも効果が認められました。
炎症低減の可能性があり、生産性へのポジティブな影響が期待できるのではないかと、新たな知見を得るきっかけになるお話でした。
なお、学会終了後、フロリダ州最大の搾乳牛10,000頭飼養酪農場を視察してきました(写真)。
是非、当社のバイパスナイアシン「ニコスプレイ」の幅広い活用に関心を持っていただけますと幸いです。